正しくまじめに処理することが当たり前と思っている身からすると驚きなのですが、世の中意外と給与計算に関わる不正行為があるようです。
どのような不正行為があるのか調べていたところ、給与計算を使用した横領についての事件が公表されていました。
内容としては6名が給与計算を不正に利用し、$1 million(日本円で約1億4千万円)以上を横領して逮捕されたとあります。記事によると、従業員でない人間に対して給与の支給を行ったりしていたようです。
他にも調べてみると、結構な数で給与計算に関わる不正行為は発生しているようです。
どのような不正行為でも発生してしまうと、大変な損害を被ってしまいます。日本から海外子会社の不正行為を常に監視することは難しいと思いますが、現地法人に対して下記のような不正行為対策が取られているか確認してみることは有益かもしれません。
給与計算に関する不正行為では、下記のような前兆があるとされています。
給与計算において不正行為が発生しているかもしれない前兆
- 本来の給与計算担当者が処理していない給与計算のPreviewファイルが作成される
- 予定に無い給与計算が処理されていた
- 給与支給の際に通常より大きい口座引き落としが報告される
- 担当者が承知していない従業員のステータス変更が行われていた
- 給与計算の担当者がプロセスについて情報を共有したがらない
- 給与計算の担当者が監査の時によく休む
あまり給与計算を理解していない状況であれば見逃してしまうかもしれませんね・・・。
不正行為が頻繁に起こるとは考えにくいですが、やはり対応策は考えておいたほうがよさそうです。
日本では名の知れている大企業でも、アメリカでは数名の駐在員とLocalの従業員で事業を行っている会社も多くあります。また、駐在員の方々全てが給与計算等の管理業務に精通しているわけではありませんので、常に詳細を把握しておくことは難しいと思います。
そのような状況で、昔からいるLocalの従業員に全てを任せてしまっているということもあるのではないでしょうか。
不正行為に対する牽制策
以下のような対応をすると事前に不正行為を牽制できるかもしれません。
- 現在勤務している従業員の数と支払いのある従業員の数を給与計算処理の際に確認する
- 定期的に下記の情報に注意してレポートを確認する
- 新規採用者
- 銀行口座変更
- レートの変更
- 住所変更(特に多くの従業員が住んでいないエリアへの住所変更)
- 給与の振り込み先口座を複数に分け、かつ頻繁に変更している従業員の情報
- アクセス権の管理
毎回の処理を細部まで確認することは難しいかもしれませんが、定期的に確認している姿勢を見せることが重要かもしれませんね。
まとめ
給与計算に関わる不正行為は発見が遅れると損害が大きくなる可能性があります。給与計算の処理についてプロセスを長く変更していないような場合は、一度内部統制を見直してみるのもよいかもしれません。
また、社内でのリソースが不足しているような場合は、第三者の視点を入れるという意味でも会計事務所へのアウトソーシングは一つのオプションになると思います。
不正行為が発生し対応に追われてしまう前に、不正行為への対策について検討を進めていただくことをお勧めいたします。