アメリカの給与計算(ペイロール)の基本

給与計算

人事部でも経理部でもないのに、アメリカに駐在することになって初めて給与計算に触れることになった方向けに「アメリカの給与計算(ペイロール)の基本」をまとめていきます。

今まで断片的にアメリカの給与計算について記事を書いておりますが、一度基本的な情報をまとめていきたいと思います。

駐在開始と同時に、現地法人の給与計算を担当することになってしまった方に参考になれば幸いです。

日本との違いを踏まえながら読み進めてみてください。

給与支給のスケジュール(Payroll cycle)

まず、アメリカと日本の大きな違いとして給与支給のスケジュールが挙げられると思います。

日本では月一回の給料日が一般的かと思いますが、アメリカではBiweekly(隔週)の給料日が一般的となっています。

日本は厚生労働省の統計によると96.2%が月給制を採用しているようです。

(参考 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/02/4-2.html)

一方、US Bureau of Laborの統計によると、45.7%がBiweeklyで支給されているようです。日本では一般的な月払いは4.4%と、その他週払いや月二回払いと比較しても一番少ない支給形態となっています。

(参考 US Bureau of Labor:https://www.bls.gov/ces/publications/length-pay-period.htm)

その他WeeklyやMonthlyを選択しても原則問題ありませんが、州によっては月二回の支給が義務付けられている州もあります。

駐在員の場合、日本から来ているため月払いでも問題ないと感じるかもしれませんが、Local従業員の場合、Biweeklyが普通と思っている人も多いかと思います。

会社によっては、駐在員は月一回の支給で処理を行い、Local従業員の給与支給はBiweeklyで行っているところもあります。

または、駐在員の支給をLocal従業員のBiweeklyに合わせて処理している会社もあります。

まず、給与支給のスケジュールが日本とアメリカでは違うことが多いということを理解していただければと思います。

課税所得(Taxable income)

給与計算を開始する際に、一番初めに必要になる情報は給与の額になります。

Local従業員の場合、一般的に時間給の人は支給対象期間中に働いた時間によって給与の額が決定されます。定額の方は、毎回同じ金額が支給されることになります。(年俸制でBiweeklyの場合、年俸/26回)

また、ボーナスやコミッションがある場合は、追加で支給金額に含めます。その他、経済的利益(Fringe benefit)がある場合も課税所得に加えることになります。

駐在員の場合、アメリカで受け取る現地給与の他に日本で受け取る給与も課税所得として加えることになります。

また、会社から車の支給、家賃、日本への一時帰国の費用等も会社が負担している場合は、課税所得として加える必要があります。

駐在員の税金はアメリカでは会社が負担することになっていることがほとんどですので、グロスアップの計算も必要となります。

給与と経済的利益を合算したものを課税所得として、税額の計算を行うことになります。

所得控除としては、アメリカでは401Kという老齢年金への拠出を行うことができます。この401Kへの拠出分は非課税となりますので、税金の計算時には課税所得から控除することになります。

通常、日本からの駐在員は日本で引き続き厚生年金に加入をしているため、アメリカで401Kに加入することはありません。

Form W4

日本で勤務されているときに、10月または11月頃に人事部から「配偶者控除等申告書」を提出してくださいと言われたことがある方が多いかと思います。(年に一回なのでよく忘れますが・・・。)

ご参考までに、どのような書類だったかリンクからご参照ください。見ていただければ、どのようなものだったか思いだすと思います。

(参考:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_06.pdf)

なぜここで突然「配偶者控除等申告書」を紹介したかというと、アメリカにも同じようなフォームが存在しているからです。

このフォームはForm W4と呼ばれており、各従業員は勤務開始時に勤務先に提出をすることが必要となっております。

Form W4では、従業員の名前等の基本情報とFiling statusを記入します。また、他にも仕事をしている場合や追加で源泉税を多く払いたい場合は、追加納税額等をこのフォームを使って勤務先に申請することになります。

こちらのフォームは駐在員も提出する必要がありますので、忘れずに各駐在員から集めておきましょう。

まとめ

今回は、アメリカの「給与支給スケジュール」、「課税所得」、「Form W4」についてまとめてみました。

次回以降で、源泉が必要な税金や処理方法などについてまとめてみたいと思います。

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