この仕事を始めて少し経ったころ、とある駐在員さんからこんな質問をいただいたことがあります。
私は日本からの駐在員なんですが、なんでアメリカで税金を払わないといけないんですか?
・・・。アメリカの法律で決まっているからです・・・。
税金を払うことは当たり前だと思っていたので、この質問には当時ビックリしてしまったのを覚えています。確かに言われてみれば、なぜアメリカで税金を払わなければいけないのかは教えてもらった記憶が無いように思います。
今回は簡単にアメリカで税金を払わなければならない理由を考えてみたいと思います。
日本の場合
まず初めに日本の税金について簡単に振り返ってみたいと思います。記憶が定かではないですが、小学校か中学校の社会の時間に税金について勉強したような気がします。
(あまり勉強のできる子ではなかったので、なにわ金融道か何かで聞いていたのかもしれませんが・・・。)
日本では、日本国憲法に「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」(日本国憲法第30条)と書かれています。
ばっちりと「納税の義務を負ふ」と書かれているので、国民は納税の義務があるんですね。非常にわかりやすいです。はい。
(参考:国税庁HP)
アメリカの場合
アメリカ(連邦政府)の憲法にも税金について記載されています。
アメリカ合衆国憲法Article 1, Section 8, Clause 1に以下の通り記載されています。
「連邦議会は、アメリカの債務の支払いや国防及び一般福祉のために、税金、関税、物品税を賦課徴収する権限を有する。」(筆者訳)
(The congress shall have the Power to lay and collect Taxes, Duties, Imposts and Excises to pay the Debts and provide for the common Defense and general Welfare of the United States.)
また、アメリカ合衆国修正第16条に、「連邦議会は、いかなる源泉から生ずる所得に対しても、各種の間に配分することなく、また国勢調査又は人口算定に準拠することなしに、所得税を賦課徴収する権限を有する。」と記載があります。
(Article 16. The Congress shall have power to lay and collect taxes on incomes, from whatever source derived, without apportionment among the several States, and without regard to any census or enumeration.)
(引用元:https://americancenterjapan.com/aboutusa/laws/2569/)
そして連邦議会はInternal Revenue Service (IRS)にアメリカの税法(Internal Revenue Code)を管理運営する権限を与えています。この税法は合衆国法典(The United States Code)第26条に記載されています。
つまり、憲法が議会に「税金取っていいよ」と言って、議会がIRSに「みんなから税金徴収してね」と言っていると考えられます。
「税金集めていいよ」と言われても、「では何からどうやって集めるの?」ってなるので、このルールは細かく税法に決められている訳ですね。
そして我々に一番関係のある税法というと、「何が収入に該当するか?」という点ですが、Internal Revenue Code Section 61に定義されています。
アメリカにいる駐在員の方の収入も原則こちらに規定されている収入に該当するため、結果として毎年申告して納税が必要になるということです。
ちなみにアメリカの税法では、IRSに対してまじめに申告しない納税者に対して$5,000のペナルティを課する権限を与えています。やはり正しい申告をしなければいけないということですね。
(参考:IRS HP)
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p2105.pdf
まとめ
アメリカでも憲法によって、税についてしっかり規定されているということがわかりました。
確かに「アメリカ人でもないのに、なんでアメリカに税金を取られるの?」という気持ちはわからなくはないですが、しっかり法律で税金が賦課されることが規定されています。
昔質問いただいた方に、しっかりと回答できればよかったなと反省しつつ書いてみました。
もし、アメリカで税金を払わなければいけない理由について疑問に思った方に届いてくれれば幸いです。
余談
久しぶりに長い文章を書いたのですが、今回はChat GPTの力を借りてみました。いやはや、本当にすごいですね・・・。今回の記事のヒントや参考になりそうな条文等を教えてもらいました。もちろん、全てが正しいわけではないので、全て確認を取りましたが大きな助けになりました。
今後Chat GPTを使いこなせるか、使えないかで大きな差が生まれてしまいそうです・・・。
ちなみになんですが、アメリカにも「なぜ税金を払わなければならないんだ!税金は違法だ!」という方々もいます。
そんなアメリカの様子も勉強できるParks and Recreationというコメディーはとてもお勧めです。中西部の設定からか英語も自然な速さでリスニングの勉強にも適している気がします。