駐在員の退職金にかかる税金について、駐在員規程等を整備されていない会社は多いのではないでしょうか。
退職金に対する規定を整備していなかったばかりに、余計に税金を負担することになってしまったという話をよく聞きます。
駐在員の転職
現状、在米日系企業では駐在期間中に退職金を支給することは多くありませんが、今後駐在員の転職も増えてくることが予想されます。
その中でも、アメリカ内でA社の駐在からB社の駐在へ転職ということも可能性としてあるかと思います。
アメリカ国内で転職をした場合、前職(A社)から支給される退職金にかかる税金は誰が負担するのかという議論が出てきます。
前職の会社が負担するのか、それとも転職する駐在員が負担するのか、それとも転職先の(B社)が負担するのか・・・。
転職時に退職金が支給される場合、この退職金に掛かる税金をどのように考えるかが非常に重要になってきます。
退職金支給時にどこにいたのか?等、少しの違いで税額に大きな影響が出てくることもありますので、駐在員の方で転職を検討されている方は事前にしっかりとプランニングを行う事をお勧めいたします。
また、国際人事の担当者も、駐在期間中の退職や転職については退職金の取り扱いについて事前に規定を整備する等計画をしておく事をお勧めいたします。
今までは駐在期間中に転職等は考えられなかったかもしれませんが、現在転職エージェント等を使えば簡単に転職活動を行う事ができてしまうようです。
時代の変化と共に、税金についてもあらゆるケースの想定が必要となっていると感じます。
日本の退職金課税の今後
先日の日経新聞に「退職金課税」についての記事が掲載されていました。
退職金課税「勤続年数関係なく一律に」 政府税調で意見: 日本経済新聞
非常に短い記事ではありますが、退職金課税の今後について政府の税制調査会で話し合われたことが伝えられています。
記事によると、「控除は勤続年数で差を設けず一律にすべきだ」という発言があったそうなのですが、今後退職金控除の金額がどのように変わっていくかを注視して行く必要がありそうです。
既にご存じの方も多いかと思いますが、2022年から退職金所得の控除額について一部取り扱いが変更されています。
今後、益々退職金への課税が強化されることが予想されます。日本で退職金に対して課税が発生した場合、アメリカでの申告書にどのような影響があるかの検討も必要になりそうです。
まとめ
実際に起きてから会社と駐在員間で揉めるより、事前に想定して規定を整備しておくことがトラブル回避になると考えます。
駐在期間中に転職活動を行い、日本国内で転職をされた駐在員がいるというお話をお伺いする機会がありました。
私のクライアントではなかったので詳細は把握していませんが、やはり人事の担当者は色々と大変であったようです。
未然に防ぐ事ができる類のトラブルでも有りますので、やはり準備はしておいた方が良さそうですね。