アメリカで給与計算を会計事務所に外注する理由

給与計算

先日、ペイロールベンダーへの外注について記事を書きました。この記事について、こんなメッセージをいただきました。

ペイロールベンダーに外注するメリットはわかったんだけど、Tomoさんみたいな会計士は何してるの?依頼すると何かメリットがあるの?

Tomo
Tomo

私が給与計算で何をしているか説明します!

注)会計事務所や契約によってサービス範囲は異なると思いますので、あくまで参考としてご覧ください。

情報収集

日本人駐在員の場合、日本で支払われる給与についてもアメリカの給与計算を通して報告する必要があります。そのため、駐在員の給与情報はアメリカの現地給の情報だけでなく、日本の給与情報も収集する必要があります。

また、企業によっては毎月各駐在員に支給している各種手当があります。この手当(光熱費等)の情報を企業の担当者に代わって収集することもあります。

その他、駐在員に対して現物支給を行うケースというのは多くあります。その現物支給がアメリカで課税の対象となる場合、きちんと給与計算を通して課税処理を行う必要があります。

この現物支給の課税処理を正しく行っていない企業さんを多く見ますので、現物支給の情報も確認します。

グロスアップ計算

手取り保障の形態でアメリカに駐在している場合、グロスアップの計算が必要になります。

各連邦・州・地方税の税率や控除を確認して、グロスアップの計算を行います。

グロスアップの計算自体はペイロールベンダーのシステムを使用すればできるのですが、我々のような会計事務所では年税額を考慮して計算を行います。

ペイロールベンダーのグロスアップの計算では全て自動で行われますので、ある月に多くの現物支給を行うと源泉徴収税額が必要以上に多くなってしまうケースがあります。

必要以上にグロスアップを行い源泉徴収が行われてしまうと、本来適用される税率よりも高い税率が適用されてしまい余計な税コストが発生してしまいます。

なかなか気がつくことの難しい税コストですが、こちらは注意が必要です。

ペイロールベンダーへの入力

計算完了後にペイロールベンダーのシステムへ情報を入力します。

新規赴任者がいる場合は、新規の情報登録等も行います。正しく赴任者の登録が行われていないと、各種当局へのレポートで修正が必要となり時間の浪費となります。

また、エラーがあるとPenaltyが発生する場合もありますので、情報の入力は慎重に行う必要があります。

毎月の給与支給日に間に合うように処理を行う必要がありますので、ペイロールベンダーの定める期日までに正確に処理を行います。期日までに入力が完了しない場合、支給日が変更されてしまいますので注意が必要です。

レポートの確認

ペイロール処理完了後に各種レポートを確認します。月次の給与支給でいくら納税が必要なのか等金額を確認します。

各当局への納税処理はペイロールベンダーが行います。また、四半期ごとのレポート等も原則ペイロールベンダーが行います。

ペイロールベンダーを変更する際は、どの期まで前のベンダーが行うか等細かいスケジュール管理が必要になります。

レポートの確認が終わったら、クライアントへレポートを共有します。

給与明細の共有

クライアントによっては、各駐在員宛に給与明細を我々から個別に共有しています。

あるクライアントは以前別に紙で作成したものを郵送で各駐在員に送付していましたが、現在は弊社が個別にオンラインで各駐在員に共有しています。

Tomo
Tomo

各駐在員に郵送するだけでも、大変な時間を使ってしまいます。こういった作業はITを活用しどんどん効率化していきたいですね。

各種Noticeへの対応

ペイロールベンダーを使用していても、各当局はなぜかNoticeを発行してきます。当局が誤った情報を基に発行している事も多いのですが、対応しないとPenaltyが発生してしまう場合もあるため必ず対応が必要になります。

税率や税法の変更への対応

ご存じの方も多いかと思いますが、アメリカは連邦・州・地方税を問わず頻繁に税率が変更になります。これらの情報を常に確認していくことは非常に大変だと思います。

我々専門家は毎年継続教育が義務付けられているので、その一環として最新の情報を常に収集するようにしています。

まとめ

非常に簡単ではありますが、我々のような会計事務所が給与計算でどのような事を行っているかをまとめてみました。

私としては、クライアントの給与計算に関わる時間を大きく節約していると信じています。

駐在員の給与計算で非常に時間がかかっている、煩雑で担当者が疲弊している等ありましたらぜひ専門家にご相談ください。きっとお力になれると思います。

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