AIに晒される度合い100%の人が具体的に晒され方を浅い知識で考えてみた

確定申告

税務業界の皆様、とりあえず繁忙期お疲れ様でした。法人税や移転価格の方々は繁忙期が違うと思いますが、とりあえず個人の所得税確定申告については一段落ということで蓄積した疲労を取りたいですね。

さて、ゆっくりお休みをしたいところに気になる画像がネットで目に入りました。

私の仕事「税務申告作成者」が堂々のランクインをしています!

仕事が無くなってしまう・・・。

このままではジムの会費も払えなくなり、プロテインも買えなくなってしまうので大変です。今年はオリンピアを見に行きたいと思っているのに、我慢しなければいけなくなるかもしれません。筋肉を失ってしまう危機なので、正面からこの危機と向き合いたいと思います。

「申告作成」のプロセスについて

まず「申告作成」のプロセスについて考えてみたいと思います。私の筋肉の敵であるAIさんが、どこのプロセスで入り込んでくるか考えます。申告書作成のプロセスはおおまかに以下の流れになるかと思います。

  1. 申告用の情報収集
  2. 収集した情報を基に申告書作成
  3. 作成された申告書の内容確認
  4. 申告書の提出
  5. 納税

ここでは私の専門でもある個人の所得税申告について考えてみます。

申告用の情報収集

申告書を作成するには納税者の情報を収集することが必要です。この仮説では、AIがびっくりするくらい発達しているとします。そして課税当局がAIを駆使し、全納税者にアクセスできるとします。

まず、課税当局から納税者に連絡が行き、納税者に一年間の収入や控除を聞き出します。Chat型の連絡が行き、納税者はおしゃべり感覚で収入や控除を伝えます。

国:「やぁ!20XX年の収入を教えてくれないか!」

納税者:「うーん、今年はあんまり昇給が少なかったよ。」

国:「残念でしたね。それで収入はいくらなんだい?」

納税者:「やかましいわ。」

・・・のようなやり取りがされるのでしょうか。なんか腹立ちますが。

2023年現在思うことは・・・。

この仮説では課税当局が全納税者にアクセスできる前提ですが、現実問題として全国民がネットにアクセスできるかは疑問ですね。また、課税当局が申告用の情報収集専用のAIを用意できるほどの予算があるかという疑問もあります。しかし、専用AIの作成のコストが今後劇的に低下すれば可能になるかもしれません。

AIとは関係ないかもしれませんが、課税当局が全納税者の収入を把握できればそもそも申告は不要になるかもしれません。給与所得のみを考えるとできなくない気はします。

収集した情報を基に申告書作成

さて、無事に納税者の情報を聞き出した課税当局のAIさんは申告書を作成します。(当局が申告書を作るというのは申告納税制度が崩壊している気がしますが、今回はあくまで仮説ということで・・・。)

聞き出した収入を間違いなく分類し、適切な控除を申告書に入力します。収入は給与だけでなく、利子、配当、譲渡、不動産、事業、雑など多岐に渡りますが、ウルトラ発達したAIさんは確実に分類してくれます。

また、控除についても収集した情報を基に適切に入力します。これで申告書の完成です。

この状態になれば我々は完全に不要です!

ここまで発達したAIが完成すれば、我々会計士は完全に不要です。お疲れ様でした。他に仕事を探します・・・。となります。

しかしながら、私が思うところは「誰がAIに複雑多岐に渡る収入や控除を教えるのか」という点です。仮に全ての納税者が一国内で完結していれば可能かもしれませんが、現在国境をまたいで投資する方というのは本当に多くいらっしゃいます。また、税制というものは洋の東西を問わず、頻繁に改正されています。この頻繁に改正される点を常に更新し続けなければならないというのは、結局誰か人間の作業になるのではないかと予想します。

作成された申告書の内容確認

AIさんが発達した世界では、一瞬で申告書が作成され納税者に提示されます。その申告書を確認して、納得すれば完了となります。

納税者Aさん
納税者Aさん

まぁAIさんが作ってくれたなら問題ないでしょう!

発達したAIさんが作成した申告書の内容について、もし質問があったとしてもきっと回答してくれると思います。AIさんが間違うことはありません!

実際作成している身としては・・・。

現状、申告書作成後に内容について問い合わせをいただくのは日常茶飯事です。依頼した側からすると申告書の内容について質問があることは当然だと思います。今後、Chat GPTのようなサービスが更に進化し、税法などについて的確な回答を提供開始することは十分にあり得ることだと考えます。

問題は誰がAIの回答を正しいか判断するか。また、誰が正しい回答を学習させ続けることができるかになると思います。現状、Chat GPTでは正しい回答はもらいにくい状況だと思います。従って、AIに正しい情報を入力し回答を確認する人と、改正などの変更を学習させ続ける人が必要になると思います。

申告書の提出

申告書の内容を確認後、当局への提出となります。これはChat上で「提出」をクリックすれば完了となるかもしれません。

提出に関しては、早くクリック一つで完了するようになって欲しいと祈るばかりです。このような単純な作業からは早く解放されたいと思います。がんばれIRS!! and 国税庁!

納税

納税については、AIさんにクレジットカード情報又は銀行情報を渡してお支払いを完了させます。一つのChat上などで納税まで完結させることができれば楽だと思います。

こちらも人間が特に関与しなくてもよい作業かなと思います。

まとめ

今回はAIがとても発達した世界を仮定して、申告書作成の未来がどうなるかを考えてみました。AIの発達していくスピードは凄まじいものがありますが、後数年は私の仕事はあるんじゃないかと考えます。

理由としては、まず課税当局が全ての納税者にアクセスすることは難しいと考えられる点があります。アメリカではSSNで納税者を捕捉できるかもしれませんが、全ての納税者が自ら課税当局のAIにアクセスするかは疑問です。

一方で国が実施するのは難しいかもしれませんが、会計事務所が自身のクライアントにAIを使用した情報収集を展開することは十分に考えられます。(Chat型の情報収集をクライアントが望むかは別として。)AIを効率的に使用して、情報収集のコストを下げることは検討に値すると思います。

また、AIに誰が正しい情報を学習させ、出力が正しいか確認させるかという課題もあると思います。実務上、給与所得のみで完結することはあまり無く、多岐に渡る収入を持つが多くいらっしゃいます。それぞれの収入を正しく分類し、課税所得額を計算することは難易度が高いと思います。この作業の検証を行うには膨大なリソースが必要になると考えます。

更に、国外に収入があり租税条約の適用などの検討が必要な場合は、学習させる内容がますます増えていくことになるのではないかと予想します。

正直言うと繁忙期中の私は「早く・・・。早く私の仕事をAIが奪ってクレメンス・・・。」となっています。私の浅いAIへの知識(ほぼゼロ)を基に考えた結果ですが、後少しは仕事がありそうな気がします。

いつの時代も同じだと思いますが、結局最先端のテクノロジーを使いこなせる会計士が生き残れるんではないかなと考えています。

追伸

同業の方!もしこの記事をご覧になった方がいらっしゃいましたら、一緒に勉強し情報共有しましょう!よろしくお願いいたします!

タイトルとURLをコピーしました