アメリカでは大学の学費を支払った場合、その年の税金を抑えることができます。(適用には諸条件あり)
今回はアメリカに赴任している駐在員が、ご自身またはご家族の大学等の学費を支払ったケースを考えてみたいと思います。
学費の税額控除とは?
アメリカで大学や大学院に学費を支払った場合、二つの税額控除が用意されており、どちらかの税額控除を受けることができます。
- American Opportunity Tax Credit
- Lifetime Learning Credit
それぞれ、控除となる対象等が違っていますので、詳細を見ていきたいと思います。
American Opportunity Tax Credit
“American Opportunity Tax Credit”の概要は以下の通りとなっています。
- 控除限度額:学生一人につき年間最大$2,500
- 対象となる学位:Undergraduate education (college/university)
- 対象期間:入学後最初の4年間
- 対象となる費用:学費と教材費
- 還付されるか?:税額を控除額が上回った場合、最大$1,000が還付される
- 所得上限:夫婦合算の場合、所得が$160,000を超えると減額がされ、$180,000を超えると控除がなくなります
Lifetime Learning Credit
“Lifetime Learning Credit”の概要は以下の通りとなっています。
- 控除限度額:申告書一件につき最大$2,000
- 対象となる学位:Undergraduate, Graduate (e.g., Mater’s, MBA) and Professional courses to improve job skills
- 対象期間:対象となる教育を受けた年
- 対象となる費用:学費
- 還付されるか?:税額を控除額が上回った場合、還付はされない
- 所得上限:夫婦合算の場合、所得が$160,000を超えると減額がされ、$180,000を超えると控除がなくなります
計算例
年間の収入$150,000の駐在員Aさん(既婚)が、お子さんの大学の学費$20,000を支払った場合
収入:$150,000
税額:$16,228
税額控除:$2,500 (American Opportunity Tax Credit)
最終税額:$13,728
学費分の税額控除を取ることで、税金を抑えることができました。
駐在員が控除を受けた場合
駐在員が控除を受け還付金が発生した場合、手取り保障の勤務先では還付金は会社に帰属することになります。
そのため、駐在員規定等に特に規定がされていない場合は、還付金が会社に戻されて完了となります。
ただし、それでは学費を払った駐在員がかわいそう・・・ということで、駐在員の帰属分の控除額を計算し、本人に返してあげることも可能ではあります。
この辺りの判断は会社ごとに異なってくるかと思いますので、もし、そのような控除を受けた駐在員の方がいれば勤務先と取扱について確認をいただくことをお勧めします。
まとめ
アメリカの医療費控除等と違い、こちらの控除は比較的とりやすい控除となります。
もし、お子さんの大学の学費や、ご自身またはご家族の大学院(MBA等)に学費を支払った場合は、これらの控除が取れないか検討してみることをお勧めいたします。
会計事務所に申告書の作成を依頼している場合は、教育機関から発行される”1098-T”という書類を提出するようにしてください。こちらの書類に、一年間支払われた学費が記載されます。