今回は興味のある人はほとんどいないんじゃないかなと思う事を書いてみようと思います。（一部の税金マニア向け）
意外と知らない人が多いかもしれませんが、アメリカの大統領の確定申告はインターネットで全世界に公開されています。従って、我々も自由に現職大統領（副大統領も）の申告書の控えを見ることができます。
ちなみに前大統領トランプさんの申告書は公開されませんでした。元々事業家ですので、複雑すぎたか金額がとんでもなかったのかも知れません。
早速、申告書の中身を見ていきましょう。まず気になるのは、大統領のお給料ですね。給与所得はForm 1040のLine 1に記入されます。バイデン大統領は配偶者のJillさんと夫婦合算申告を選択されているので、大統領の給与とJillさんの給与が合算されて記載されています。お二人の給与が合算で$445,449（日本円1$=135円換算で60,135,615円）となりますので、結構な高所得と言えるのではないでしょうか。ただ、職責が半端ないので金額に見合わないのかも知れませんが・・・。
また、給与所得以外にも利子や年金も受給されています。（御年79歳なので当然ですが。）それ以外にもOther incomeとしてS corpから$61,995の収入がありました。
アメリカの所得税にはAdjusted Gross Incomeという概念があります。税額を計算する際に、所得税法に則り調整された収入額を合算した金額になります。こちらの所得控除前のAdjusted Gross Incomeの金額が$610,702となっています。日本円に換算すると、82,444,770円となりますので所謂パワーカップルと言えるのではないでしょうか。
（日本だったら目黒区あたりのタワマン高層階に住んでそうな所得額ですね。これは個人の感想です。）
そして、このAdjusted Gross Incomeから所得控除を行います。アメリカの申告書ではStandard deductionまたはItemized deductionのどちらか有利な方を選択することができます。Standard deductionは標準控除と訳され、2021年の申告書では夫婦合算で$25,100を控除することができます。Itemized deductionは選択控除と訳され、特定の支出額を所得控除することができます。特に大きな医療費の出費や寄付金等が無い場合は、通常Standard deductionを選択します。
バイデン大統領の申告書では、Itemized deductionが選択されており詳細がSchedule Aという書類に記載されています。州税・地方税の支払もItemized deductionの対象になるのですが、現在州税・地方税の支払は$10,000が控除額上限となっています。従って、Standard deductionが$25,100と高額になっている現在はあまり使われていません。
また、バイデン大統領は州税・地方税以外にも住宅ローンの利子や寄付金がありました。認められる特定の支出合計が$42,290となり、Standard deductionの$25,100を超えたためItemized deductionが選択されています。
Adjusted Gross Income $610,702からItemized deduction $42,290を控除した金額$568,412が課税所得となります。そして税額がLine 16の$148,033（日本円で19,984,455円）となります。収入もたくさんありますが、その分税金もたくさん払っていますね。
大統領の申告書も会計事務所が作成しているようです。自分の作った申告書が全世界に公開されると思うとプレッシャーが凄いでしょうね・・・。
