駐在員の申告関連業務をラクにする! ー 隠れた作業負担からの解放

確定申告の対応に追われる担当者のイラスト 確定申告

申告シーズンも終わりましたが、改めて「申告書作成の外注」について考えてみたいと思います。

この記事で得られる3つのこと

  1. 隠れタスク7項目を可視化:駐在員の申告で担当者が抱えがちな「本来やらなくていい作業」を洗い出します。
  2. 工数・コスト削減の目安がわかる:専門事務所に切り替えた場合、メール・作業時間削減のインパクトを把握できます。
  3. 5分セルフ診断ツールを入手:無料PDFチェックリストで御社フローのリスクと改善余地をその場で確認できます。

駐在員の申告書を会計事務所へ「外注」

在米日系企業において、駐在員の申告書作成については、会計事務所に外注されていることがほとんどのケースかと思います。

駐在員の申告書を外注している日系企業の中には、なんとなく過去からの流れで作業してきたけど、実は申告時期に多くの時間を浪費してしまっている会社さんが多くあります。

本記事では、その原因と具体的な改善策を7つのポイントから比較します。

駐在員確定申告書作成サービスの比較

一言に「外注」と言っても、なかなか他の会計事務所の提供しているサービスを見て比較することが難しいかと思います。

車や家電であれば、色々な会社の製品を見て比較することができますが、「申告書の作成」は各会計事務所の細かい内容を比較するのは容易ではありません。

会計事務所を変更するのは大変な作業なので、毎年違う事務所に依頼するのも現実的ではないかと思います。

今まで、色々な会計事務所さんからの仕事を引き継ぎさせていただきましたが、サービスの範囲は結構違うなと感じています。

特に米系の会計事務所に依頼されている場合、我々のような専門事務所とは大きく違うようです。

注)今回記事内で出てくる「米系会計事務所」は特定の事務所を指している訳ではありません。日系企業に慣れてないような地場の会計事務所を想定しています。

日系企業向けチームがあるような事務所は該当いたしません。

この記事では、あくまで私が今まで地場の米系会計事務所から引継ぎをしてきた内容を基に一般化しています。

確定申告を外注する際の社内担当者さんの業務

日系企業の担当者さんが、駐在員の申告書関連業務について主に下記の作業が該当します。

  1. 申告書作成者の確認
  2. 質問書の展開
  3. 質問書の回収
  4. 駐在員からの質問への回答
  5. 申告書作成状況の確認
  6. 納税額・還付金額の連絡
  7. ITINについて

これらの作業が毎年繰り返されるわけですが、外注している会計事務所によって負担は大きく違ってくるのではないでしょうか。

担当者さんは申告書を作るわけではないのですが、申告書関連だけでこれだけの作業が発生しています。

一つ一つの作業自体はそこまで多くないかもしれませんが、積み重なると結構な時間を取られることになっています。

もちろん他にも細かい作業がありますが、今回はこれらの主な作業について米系の会計事務所に依頼した場合と、専門事務所に依頼した場合の違いを見ていきましょう。

確定申告書作成サービス比較表

作業項目米系会計事務所専門事務所
申告書作成者の確認担当者が毎年リスト化し提出給与データを基に事務所が作成。担当者は確認のみ
質問書の展開紙/Excelを担当者がメール送付・配布管理Web質問書を事務所から駐在員へ直接送信
質問書の回収担当者が締切を管理し、督促、とりまとめ提出もオンラインで完了。未提出者は事務所がリマインド
駐在員からの質問対応担当者が英訳して会計事務所にとりつぐ日本語対応スタッフが直接対応。ウェビナーで先回り解消
申告書作成状況の確認4/15直前まで連絡が無く、延長が前提なこともある事前に状況を共有
納税額・還付額の一覧化担当者が申告書を開いて確認事務所が一覧を提供
ITIN取得サポートサポートが無いこともあり要件を確認し、取得代行サービスを提供

以下で各作業について詳細を確認します。

駐在員確定申告書作成者の確認

米系会計事務所の場合:担当者さんは自身で毎年、新規赴任者や帰任者を含め申告書の作成対象者を確認します。確認後、情報をまとめて会計事務所に提出します。

専門事務所の場合:作成者を確認させていただく際に、給与計算の情報を用いることが多いです。既に事務所に情報がありますので、事務所がまとめた情報を担当者さんが確認するだけとなります。

メモ:ケースバイケースではありますが、米系の会計事務所では一年間の経済的利益の所得認識などを含めた給与計算を行っていないことがあります。

給与計算を会計事務所に依頼していない場合、会計事務所では誰が来て誰が帰ったのかがわからないので、毎年、担当者さんが情報をまとめて連絡する必要があります。

一方、専門事務所では給与計算も併せてサービスを提供していることが多いです。この場合、事務所側に情報がありますので、担当者さんは改めて情報まとめる作業を行う必要がありません。

質問書の展開

米系会計事務所の場合:担当者さんに紙やエクセルのファイルが送られ、担当者さんが対象となる各駐在員に送ります。誰にいつ送ったかの管理は担当者さんが行います。

専門事務所の場合:我々のような専門の事務所では、現在Webを使用した質問書を使用することが一般的です。会計事務所から直接、駐在員に質問書のリンクを送りますので、担当者さんからの案内は不要です。

メモ:既にWebの質問書を使用されているところは問題無いのですが、未だに紙やエクセルの質問書を使用している事務所が意外と多くあります。

紙やエクセルの質問書では情報漏洩のリスクも高いので、情報の安全性を考えると会計事務所の変更時かもしれません。

既にWebの質問書を使っている事務所では、現在ほぼ全ての事務所でクラウドを使用しているはずです。

クラウドの場合、紙やエクセルの質問書よりはるかに安全な環境で情報収集ができていると考えられます。

質問書の回収

米系会計事務所の場合:担当者さんが会計事務所の設定した締切日までに、各駐在員から紙やエクセルファイルを回収することになります。

まだアメリカにいる駐在員であれば、声をかければ対応してくれるかもしれませんが、日本に既に帰国された方が対応してくれない場合、提出してくれるまでリマインダーを出さなければならないのでストレスになります。

各駐在員から回収後、会計事務所にまとめて提出します。担当者さんによっては、回収された各質問書の内容を確認し、誤った内容が無いか確認した上で会計事務所に提出していることもあります。

専門事務所の場合:Webの質問書を使用している場合、提出もオンライン上で完結します。従って、担当者さんがファイルをまとめる必要はありません。

通常、提出が無い方へのリマインダーは会計事務所が行います。

メモ:駐在員10名の場合、リマインドや内容の確認で約5時間は使用しています。この作業時間は0となります。

駐在員からの質問への回答

米系会計事務所の場合:日本語がわかる方がいれば良いのですが、米系の場合は日本語がわかる会計士は多くないと思います。そのため、駐在員からの質問を担当者さんに送り、担当者さんが英訳して会計事務所に聞いていることがあります。

担当者さんも税金の専門家ではないので、英訳した内容が合っているか不安ですし、会計事務所からの回答がイマイチ的を射ないことが多々あります。

専門事務所の場合:日本人専門家がいる事務所ですと、駐在員に質問がある場合は、直接会計事務所に聞いてもらうことが可能です。担当者さんは駐在員の個人情報を聞く必要もありません。

日系企業向けチームがある会計事務所であれば問題ないかと思いますが、地場の米系会計事務所の場合、言語の壁はどうしても発生してしまうことが予想されます。

日系企業に慣れていない事務所では、日本の税制等を理解していないと適切な回答や処理ができていないことが散見されます。

専門事務所では、申告書の作成時期に駐在員向けにWebinarを実施しているところもあります。Webinarで案内することで、駐在員の疑問を先回りして解消することができます。

申告書作成状況の確認

米系会計事務所の場合:アメリカの確定申告書の提出は延長申請を行うことが可能です。そのため、我々日本人の感覚と違い「期限は一応4月15日だけど、延長申請すればいいか。」と思っているアメリカ人会計士が多くいます。

会計事務所からの連絡を待っていたら、あっという間に4月上旬になってしまい「本当に大丈夫かな?間に合うかな?」と不安になってしまうことがあるかもしれません。

専門事務所の場合:基本的によほどの事情が無い限り、期限までに申告書の作成が完了するように作業を進めています。クライアントの納付手続きのスケジュールも確認して、ご案内することが多いです。

人にもよるところが大きいですが、期限に対する態度の違いからストレスが大きくなることがあるかもしれません。

納税額・還付金額の連絡

米系会計事務所の場合:納付額・還付金額の情報がまとまっておらず、担当者さんが一人一人の申告書を確認し、情報をまとめる。

専門事務所の場合:各駐在員ごとの納税額・還付金額の一覧を担当者さんと共有する。

メモ:米系会計事務所の中でも対応が分かれるところではありますが、駐在員の申告書作成に慣れていない事務所だと情報をまとめてくれないところもあるそうです。

各駐在員の申告書を確認して、まとめる作業だけでも結構な時間を要してしまうことが考えられます。

ITINの取得

米系会計事務所の場合:制度や取得方法がよくわかっておらず、ITINについての案内が無い。

専門事務所の場合:ITINの取得方法を理解しており、適切な節税と手続きの案内を行う。

メモ:米系会計事務所によっては、国際関連の申告に慣れていないためITINついて全く把握していないことがあります。

駐在員専門の事務所では、取得可能な方については必ず取得し、適切な節税を行うようにしています。

まとめ

今回の記事では、簡単に駐在員の申告書外注にまつわる作業を見てみました。

一つ一つの作業を見直すことで、大きな作業時間の削減に繋げることが可能となります。

もし、申告書作成時期に必要以上に時間を取られていると感じる方々の参考になれば幸いです。

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